SHATNER of WONDER

◆「シャトナー of ワンダー」とは

「シャトナー of ワンダー」は、演劇の宇宙を冒険し続ける演出家・西田シャトナーが、自作戯曲を上演するプロジェクトです。大いなる自然や空想物語に触れた時に感じられるという不思議な感覚「センス・オブ・ワンダー」から名づけられました。
今回は、自分の夢の中に閉じ込められた大学生・ソラオの永遠の一夜を描く冒険譚『ソラオの世界』を上演します。2009年に初演されて以来、すでに2回の再演と1回のリメイクを経た同作を、あらたに全ページ改稿し、テーマ・手法を磨きぬいてバージョンアップ。繊細さと華やかさを併せ持つ演技派として注目される俳優・多和田秀弥をはじめ、新しい出演者も集まります。ご期待ください。

◆西田シャトナーより

07年の夏にあった、少し不思議な体験について話します。
私は演劇と並行して長年折り紙作品にも取り組んでいるのですが、その夏のある昼下がり、自宅近くのカフェで、ふと「象」を折ろうと思いたちました。私は象の中でもとりわけ「宇宙象」という、ダリの絵に登場する象が大好きで、何年も前から「いつか折ろう」と思っていたのです。ですが宇宙象は形が難しく、「折りたい」と思いながらも「無理だろうな」と決めてかかり、一度も挑戦していませんでした。だけど、やってみれば折れるかもしれない。そう思い、突然挑戦してみることにしました。折り紙作品の創作には、何週間もかかることが普通ですし、なにしろ難しそうな「宇宙象」ですから、何か月もかかるかもしれない。あるいは結局折れないかもしれない。そう覚悟しつつ、折り始めました。ところが、なぜだかその日、折り始めてわずか2時間で、いきなり折りあがってしまったのです。
その、折りあがったばかりの象を、カフェの窓から射してくる陽光に照らし、私はとても嬉しい思いで眺めていました。
そこへ、電話がかかってきました。古い知り合いのプロデューサーからの、7年ぶりの電話でした。要件は、ある芝居の脚本と演出を引き受けないか? というオファーでした。宇宙象を折ることができて興奮していた私は、芝居の内容も聞かないうちに、つい、
「やりますよ」
と答えてしまい、それから慌てて、
「ところで、どんな芝居を作ればいいんですか?」
と訊きました。
「ストーリーはシャトナーの好きにしてくれていい。ただ、ガネーシャという、象の神様を出してくれれば」
「そうなんですか」
と、驚きながら私は答えました。
「ちょうど今、象が折れたところなんです。やる運命だったようですね」

そして書いたのが、最初の『ソラオの世界』です。
この時の『ソラオの世界』は、トラブルがあって一旦上演中止になり、東京で初演を行うまでには結局それから2年もかかってしまいました。初演まで改稿を重ねて、最終的には象と全然関係ない脚本になっていたのですけれど、でもほかにも数えきれない偶然がたくさん重なり、稽古場で何度も不思議な思いをしたことを覚えています。
『ソラオの世界』は、挫折の向こうに夢を見る物語です。眠っている時に見る夢が自分次第なのと同じように、起きている時に見る夢も自分次第なのだと、気づくための物語です。
最初に電話がきたあの日から、もうすぐ9年たちます。その間に、奇跡もずいぶん数が増えました。
きっと皆さんに、私の経験したたくさんの小さな奇跡が、花の種の様に、物語の風に乗って届きますように。

◆西田シャトナー プロフィール

1965年大阪生 作家・演出家・俳優・折り紙作家。 大胆な演出アイディアとパワフルな肉体表現で独創的な演劇作品を作り続ける演出家として活動する一方、折り紙作家としても長く活動を続けている。
1990年に大学生時代の友人と結成した劇団『惑星ピスタチオ』は、独自の演劇表現が注目を集めて動員2万人に達し、俳優・佐々木蔵之介、演劇プロデューサー・登紀子らを輩出した(2000年に解散)。
近年の作品には、松山ケンイチの舞台初主演作品『遠い夏のゴッホ』(2013年)、チェコの古典的戯曲を自ら翻訳・演出した『R.U.R.ロボット』(K.チャペック)(2014年)、架空の上演団体によるフェイクコメディ『ムッシュ・モウソワール』シリーズ(2014年~)、2.5次元演劇の潮流の立役者となった舞台『弱虫ペダル』シリーズ(2012年~)などがある。
2014年、西田自身のオリジナル作品を上演するプロジェクト、「シャトナー of ワンダー」を始動。必ずしも新作にこだわらず、その時もっとも世に送り出したい作品を丁寧にじっくり作るというコンセプトで上演を続ける。4公演目となる今作は、09年初演の『ソラオの世界』を、戯曲段階から再構築しての上演となる。

西田シャトナー公式サイト http://n-shatner.com
西田シャトナーブログ http://blog.livedoor.jp/nishidashatner/


◆主な受賞歴

・パルテノン多摩演劇祭グランプリ(93年)
・第1回日本映画エンジェル大賞(02年)
・佐藤佐吉演劇賞優秀脚本賞(05年)
・名古屋演劇博覧会「HighschoolMeeting賞」「ちくさ座賞」(07年)
・一人芝居フェス「Fight Alone 4th」優勝(14年)


◆主な演劇作品

『破壊ランナー』(惑星ピスタチオ など 1993年、1999年、2012年)
『銀河英雄伝説・第一章帝国編』(キティフィルム 2011年)
舞台『弱虫ペダル』シリーズ(マーベラス 2012年~)
『遠い夏のゴッホ』(ホリプロ 2013年)
『R.U.R.ロボット』(鳥の劇場 2014年)


◆折り紙作品展

09年 個展『22.5°の宇宙』開催(墨田区街見世プロジェクト)
10年 カフェ展『22.5°の宇宙Ⅱ』(六本木カフェ・フランジパニ)
折り紙展『折』(東京国際フォーラムアートショップ)
折り紙フォト&エッセイアプリ発売 http://amazingorigami.com/
12年 作品展『22.5°の世界Ⅲ』(荒川区111ギャラリー)
13年 作品展『22.5度の世界』(福島県 諸橋近代美術館)

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